2019年11月24日日曜日

          
             安倍式政治を解明する 
                   
                                                              蓮井 治



【1】安倍政治の4つの行動規範 

安倍首相が唱える4つの行動規範とは、(1)憲法無視 (2)財界最優先 (3)アメ リカ言いなり (4)どんなに批判されても自説を貫く、です。
まさに「アホノミクス」・「アベコベミクス」そのものです。このような政治の下では國 民の幸せはありえません。そんな政権が2006年以降13年も居座っているのは不可解 であるとともに、憂慮すべき事態です。
 安倍氏は、政界に入った直後から自民党の極右集団に参加し、急速に存在感(?)を高め てきました。1996年には、「明るい日本・国会議員連盟」の事務局長代理に就任、1 997年には、「教科書議員連盟」の事務局長に就き、名うての右翼と連携して先の日本 の戦争を侵略戦争とみなす考え方を「自虐史観」と決めつけ、教科書から「慰安婦」「南京虐殺事件」の記述を削除するよう要求した経緯があります。さらには最大の右翼集団で ある「日本会議議員連盟」、「神道議連」などに加えて、党内の主要な右翼組織のほとん どすべてに名を連ねています。また「慰安婦」問題を取り上げたNHKの番組の内容を変更 するよう圧力をけ、大きな社会問題を引き起こした経緯も忘れてはなりません。「私は闘 う政治家を目指す」などと公言していますが、「誰のため、何のため」かは不明ですし、 彼が「闘う政治家」として活動すればするほど政治は悪化・劣化の方向に向かうでしょう。

【2】改憲に走る安倍・自民党 

自民党・政府は、改憲に力を入れていますが、それ自体が憲法違反です。憲法第99条の 「天皇または摂政及び国大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁 護する義務を負う」との規定に違反することは明らかです。安倍政権のもとで憲法と国民 無視の政治が行われていますが、このような事態を生みだした要因の一つが小選挙区制で あることを指摘しなければなりません。

【3】消費税は悪税の見本 

もともと消費税という税制は、ヨーロッパで戦争の費用を捻り出すために始まったもので した。日本の場合は、「財政の健全化」が売り物で導入されましたが、ためにする宣伝に 過ぎず、自民党政治のもとで年々5兆円を超える規模の軍事費を捻出するためと財界言い なりの上にアメリカの圧力も加わって財政破綻をきたし、消費税はその穴埋めのために導 入されたものです。内容も動機も決してまともなものではありません。
それに加えて消費税は、貧困者と大金持ちにも同じ税率が適用されるという点で税制の基 本となっている「応能原則」に反する悪税の典型です。
悪いことに、消費税は1パーセントで2~3兆円規模の税収が挙げられるもので、政府・ 財界にとっては、「魔法の杖」です。まるで放蕩息子が「打ち出の小槌」を手に入れた のようなもので、歴代保守政権にとっては、絶えずその魅力に抗しきれないのです。
 前述のように、ヨーロッパで導入された消費税は戦争の費用を捻出するために始められた ものですが、日本の場合も同じような経過をたどりました。先に触れたように、「財政の 健全化」を売り物にして自民党政治のもとで年々5兆円を超える規模の軍事費や大型公共 事業、それに法人税の減税などで招く財政破綻の穴埋めを国民負担でカバーすることを目
的にして画策されました。内容も動機も決して健全なものではありません。「健全」どこ ろか「よこしま」そのものです。
 麻生副首相は、「ヒットラーの手法を真似ろ」などというとんでもない言辞を弄していま すが、これは安倍政権の本音を突いていると同時に、それだけも内閣総辞職に値します。 森元総理は、「日本は天皇を中心とした神の国」と述べて辞任に追い込まれましたが、安 倍首相は、森元総理よりもはるかに根深い国粋主義者なのですから、彼が自民党総裁で総 理の座に留まっていること自体が異常と言えるのではないでしょうか。
 ここでもう一つ付け加えておきたいのは、消費税というのは、その負担者と支払い義務者 が同じではないという点でも決定的な欠陥税制なのです。と言いますのは、個人の場合は 別として、企業間取引では多くの場合、消費税の最終的な負担は売り手と買い手の間での 交渉で決められます。そうなれば大企業と中小企業との間では力の差は歴然としています から、必然的に弱者である中小企業に負担が押し付けられるのです。
こうして消費税の負担を免れた大企業が海外に輸出した場合、払ってもいない消費税が還 付(?)されますから輸出大企業には法外な不当利益が転がり込むことになります。こと ほど左様に消費税というのは悪税の典型であり、麻薬のような存在です。
 安倍政権は最近、消費税を10パーセントに引き上げることを決定しましたが、この税制 の欠陥・矛盾も拡大することは言うまでもありません。

【4】消費税導入後の経緯

 政府や財界は「財政健全化のため消費税増税が必要」と主張していますが、消費税を導入 した1989年と直近の2018年を比べても国の税収はほとんど変わっていないのです。なぜかというと、消費税導入と引き換えに大企業の法人税と大金持ちの減税が実施されたからです。要するに消費税というのは、庶民の犠牲で大企業を救済・優遇する道具になっ ているのです。
一般的に資本主義の社会では格差と貧困の拡大が避けられません。この矛盾を是正するた めに世界各国で所得再配分機能のための諸々の施策を実施してきました。ところが日本で は消費税が導入されたため格差や貧困が一段と拡大する結果を招いてしまいました。

【5】消費税10パーセントへの引き上げに反対しよう 

消費税が8パーセントに引き上げられた2013年以降家計の消費も実質賃金も大きく落 ち込み、経済成長の大きな障害となりましたが、10パーセントへの引き上げは、その傾 向をさらに拡大・助長する結果を招くであろうことは自明です。
私たちは、消費税増税にストップをかけるとともに労働者が8時間働けば普通に暮らせる 社会、暮らしを支える社会保障、お金の心配なく学び、子育てができる社会を目指したい ものです。そのためにも安倍政権が計画しているアメリカ製の高額兵器1兆円を超える「爆買い」や国民の暮らしを破壊する軍拡計画にストップをかけることが不可欠であるだけで なく、国民の当然の権利でもあります。そのためにも世論を結集して今こそ平和憲法を守 り抜くことが求められています。        
 
                     2019年11月10日   蓮井 治