2019年5月21日火曜日

  過労死ゼロ社会をめざして
         職場革新懇としての課題
                      
                        戸塚 祐子

この間の職場革新懇の共同の取り組みと今後の課題について発言します。

あいおい損保・西武鉄道・全日空・東京地下鉄の4職場革新懇の共同行動のスタートは、2014年東京都知事選挙(宇都宮健児候補)の大塚駅前支援行動からでした。その後戦争法廃止2000万署名行動とその後の交流会の中で、4職場には共通の課題があることが確認され、2016年11月23日に「平和と安全・安心の経営こそ企業を発展させ、労働者の命と生活も守られる」をテーマに五十嵐代表世話人にコーディネーターをお願いしてシンポジウムを開催しました。その後も3000万人署名を共同で取り組み、交流する中で集い第2弾を開くことになりました。

2月15日(金)あいおい損保・西武鉄道・全日空の職場革新懇は、「命と平和が宝ーみんなで考える」集いを共催しました。内容は、東京過労死を考える家族の会 代表 渡辺しのぶさんのお話と、楽団ひとり(花岡蔚さん)の「人権を大事にするコスタリカー昭和歌謡にのせて」と題する演奏と語りでした。
渡辺しのぶさんは18年前、大手電機メーカーの技術職で裁量労働制で働いていた夫(40歳)を突然死で亡くされました。11歳と3歳のお嬢さんを抱えながら、過労死と認めない会社を相手に労災認定を勝ち取られましたが、労災と認められても大切な人を助けられなかった悲しみ、罪悪感、無力感、そして父親の過労死を受け入れられない子供の不登校、家庭内暴力など多くの困難があったそうです。今はそれらを乗り越えて、東京過労死を考える家族の会の代表として過労死のない社会を!と訴えて活動されています。

集いには60余名の方が参加され、過労死されたご遺族の悲しみ・苦しみを具体的に聞く事で胸に迫るものがあったとの感想が多く寄せられました。今回の集いについて、参加者の中で過労死への理解を深めるという初期の目的は達成できました。問題はこれからです。ここをスタートに、過労死のない社会をつくるために職場革新懇としてどうするのか、壮大なテーマが立ち上がってきます。

私の働いていた会社の現況としては、1万3000人余の従業員がいますが、入れ替わり常時3ケタの心身疾患による長期欠勤者がいるそうです。100人の労働者がいれば、職場環境・仕事の内容・個人の心身状態等100通りの違った条件があるはずで、しかも外観からは判断できませんが過労死の一歩手前だった人もいるはずです。
今回の集いに先立ち、会社の本社前で出勤時のビラ入れを行いました。私たち革新懇の集いなどに参加してくれる現役は、残念ながらそれほど多くはありませんが、職場状況等の実態を知れば、そこに働いている人たちの大変さを想像することはできます。

損害保険産業には万が一の損害を補償するという社会的役割があります。かってはそこに誇りと働き甲斐を感じている人が沢山いましたが、いまは考える余裕がないのではと危惧されます。所属する企業と産業の民主化を求める職場革新懇として、職場で懸命に働いている人たちに心を寄せ、過労死の問題にもどう取り組むか考えていきたいと思います。

総会議案の Ⅲ 安倍政権の打倒と各分野の課題 の(6)くらし・医療・介護・教育の中の【すべての労働者に人間としての尊厳ある働き方、くらしを】の項目の「8時間働いて普通に暮らせる賃金・働くルールの確立」の要求が私たちの課題とリンクしてくると思います。

あいおい損保革新懇では5月5日の世話人会に渡辺さん親子をお招きして懇談・懇親会をもちました。また本日、西武鉄道革新懇でも渡辺さんを囲んで懇談会を開いているそうです。3職場革新懇で何が共同できるか、また個々の職場革新懇ではどうするのか、7月の参院選の取り組みとも合わせ議論を深めていきたいと思っています。

なお、あいおい損保革新懇ではホームページを開設していますので、お時間のある時にのぞいてみてください。

          (2019年5月18日 全国革新懇・第39回総会での発言要旨から)